骨髄移植Q&A

Q1 骨髄移植をして治る病気はどのようなものがあるのでしょうか?

A
血液のがんと言われる「白血病」と、血液を作り出すことでできなくなる「再生不良性貧血」が、骨髄移植で治る代表的な病気です。他 には先天性の免疫不全症候群、代謝異常症(小児の病気)があります。また、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの病気の治療法として骨髄移植が選択されることもあります。


Q2 私も白血病になるかもしれないのでしょうか?

A
可能性はだれにもあります。白血病は10万人当たり年間5−6人の頻度で発症するとされています。三重県では約80人の方が1年間に発症していることになります。子供から高齢者までどの年令にもおこりますし、原因不明で予防することはできません。


Q3 三重県には骨髄移植が必要な患者さんはどのくらいいるのですか?

A
三重県では1年間に約80人の方が白血病になり、そのうち年齢・病状を考慮して約30名で移植が必要となると考えられます。また、他の血液疾患で、移植が必要な方が10名くらい存在します。合計40名くらいの患者さんで骨髄移植が必要になってきます。そのうち約30%の患者さんでしか、兄弟姉妹などの血縁者間でHLAの一致したドナーをみつけることができません。残りのかたは骨髄バンクに患者登録をしてドナーをみつけるしかありません。
三重県では骨髄バンクに骨髄移植希望患者として22名の方が登録されています。(平成15年8月現在)


Q4 骨髄移植をしたらなぜ病気が治るのでしょう?

A
急性白血病の場合、まず抗がん剤による治療を行います。そこで70〜80%の患者さんは、"寛解"と呼ばれる一見正常の状態となります。しかし、白血病細胞がすべて殺されたわけでないため、半数以上の方が再発をしてしまします。骨髄移植は、全身に放射線と大量の抗がん剤を使って、残っている白血病細胞を消滅させて、破壊された患者さんの骨髄を、健康なドナー骨髄で置き換える治療法です。新たに造られた血液細胞(リンパ球)が、患者さんの体内にわずかに残った白血病細胞をみつけて攻撃すると考えられています。そのため移植後の白血病の再発が少なくなると言われています。


Q5 骨髄移植をすればすべての患者さんが助かるのでしょうか?

A
残念ながらすべての患者さんが助かるわけではありません。骨髄移植は実はリスクの高い治療です。「GVHD(移植片対宿主病)」といわれる骨髄移植特有の免疫反応により、肝臓、胃腸、皮膚などの障害を受けたり、細菌などに弱くなり肺炎にかかったり、あるいは移植前の抗がん剤などの副作用により肝臓や腎臓の障害を受けて、移植を受けたにもかかわらず10〜20%の患者さんが死亡されます。また、移植後に白血病などのもとの病気が再発してしまうこともあります。全体として長期的に生存できるかたは、全移植患者さんのうち50〜60%となっています。もちろん移植をしなければほとんどの方は助かる見込みはない患者さんであります。つまり、骨髄移植は助かる見込みのない病気に対して残された唯一の治療法と言えます。


Q6 骨髄移植はどのように行うのですか?

A
患者さんの病気に侵された骨髄を、"前処置"と呼ばれる大量の抗がん剤と全身への放射線をかけることにより空の状態にして、ドナーの骨髄を輸血と同じ方法で静脈内に点滴で輸注します。輸注する骨髄液は、患者体重kg当たり15mlとなります。50kgの方には750mlの骨髄液が輸血されます。血液型(ABO型)には関係なく骨髄移植が可能です。入れた骨髄の細胞は自分の行くべき場所である骨髄をちゃんと見つけて定着します。


Q7 患者さんは無菌室で過ごすと聞きましたが、なぜですか? どれくらいの期間いなければならないのですか?

A
ドナーから提供された骨髄が患者さんの身体のなかで血液細胞(白血球、赤血球、血小板)を作り出すまでの約3週間の間は空気中などの環境にある細菌やかび(真菌)などで肺炎などをおこす危険性が高いので、無菌室で過ごすことになります。患者さんにとってはストレスの多い期間と言えます。


Q8 ドナー登録をしたらすぐに骨髄提供をすることになるのでしょうか?

A
ドナー登録とは、自分のHLA型が骨髄データセンターのデータベースに登録されるということです。このデータベースから患者さん側からの依頼で、HLAの一致した5人までのドナー候補者が選定され、ドナーコーディネートが開始されます。従って、登録後早々にコーディネートが開始されることもあれば、何年たっても全く連絡が来ないこともあります。コーディネートが開始されますと、HLA型の更に詳しいマッチング(DNA上での一致)がされて、患者さんにとって一番適切なドナーと判断される方が、最終的な骨髄提供者として選定されます。


Q9 私は51歳ですが、健康には自信があります。ドナーの年齢制限が50歳までと聞いて今ひとつ納得がいきませんが・・・。もっと延ばすことはできないのですか。

A
一般的に、高齢になるほど全身麻酔のリスクが上昇します。例えば、動脈が硬くなり心筋梗塞や脳梗塞の偶発症が起きるリスクがあがるとか、感染への抵抗力が低下していて肺炎などの合併症の可能性がわずかに高くなる、などがあります。骨髄バンクでは、善意のドナーに万が一のことが起こらないよう配慮して年齢を50歳までと規定しています。残念ながら51歳のかたのドナー登録はできませんし、現在のところ年令を引き上げる予定はないようです。

Q10 骨髄提供の依頼があったら必ず提供しないといけないのですか?

A
 提供の意思を確認した上で、コーディネートは開始されることになります。なぜなら、コーディネートにかかる費用は患者さんの自己負担なるうえに、期待とともに心理的な負担が加わるため、提供意思がない方に検査をすることは避けるべきと考えられるからです。ただ、コーディネートの途中で気持ちが変わることもあるかもしれませんし、家族の反対があってうまく同意が得られないこともあります。その際は、辞退可能です。しかし、骨髄提供に関する最終同意がされたあとは、ドナーから提供辞退を申し出ることはできません。なぜならば、患者さん側では移植の準備が開始されているからです。さらには移植2週間前からは前処置が開始されるため、移植をしないと救命できない状況に陥ります。

Q11 どこの病院でも確認検査や骨髄採取を受けることができるのですか?

A 
確認検査は調整医師のいる病院でできます。三重県内では、四日市市立病院(四日市市)、県立総合医療センター(四日市市)、鈴鹿中央総合病院(鈴鹿市)、鈴鹿回生総合病院(鈴鹿市)、三重大学附属病院(津市)、山田赤十字病院(度会郡御薗村)、紀宝町相野谷診療所(南牟婁郡紀宝町)があります。
骨髄採取は、骨髄移植推進財団が認定した病院でしかできません。県内は、三重大学病院と山田赤十字病院です。


Q12 ドナー登録した後、確認検査から提供に至るまでの期間、病院への訪問回数などについて聞かせてください。

A
 患者さん側からコーディネートの依頼が地区事務局(三重県では名古屋の中部事務局)にきます。原則としてドナーの住む地域の調整医師がいる病院で、確認検査(一般血液検査とHLA−DNAタイピング採血)が行われます。もし、この結果により骨髄提供の依頼があれば、最終同意をすることになります。このときは家族が同席した上での同意が必要となります。最終同意までには、2回調整医師の病院まできていただく必要があります。
最終同意の後は、骨髄採取の日程調整が行われ、採取病院が決まります。採取の約1ヶ月前に健康診断を採取病院で行います。また自己血の採血を1ないし2回別に行います。最終同意後は、入院までに2回ないし3回採取病院にきていただきます。
確認検査から骨髄採取まで早い場合は2ヶ月、平均5〜6ヶ月ほどかかります。


Q13 骨髄はどのようにして採取するのですか?

A
腸骨と呼ばれる骨盤の骨から採取します。腸骨の背中側で、ベルトの位置よりやや低い部分から骨髄穿刺針(ボールペンの芯くらいの太さ)を皮膚の上からを骨髄まで通して、注射器で吸引し採取していきます。針の穴の数は左右合計2−6ヶ所くらいとなります。1回5〜10ml程度の骨髄液を吸引し、採取量は患者体重kg当たり15mlをめやすにします。例えば、患者体重が50kgであれば骨髄採取量は750mlとなります。骨髄採取に要する時間は、1〜3時間くらいで、手術室にいる時間は2〜4時間となります。採取前日に入院し、採取後体調に問題なければ翌日退院も可能です。入院期間は通常3泊4日(または2泊3日)が必要です。


Q14 全身麻酔や骨髄採取で後遺症などが残ることはないのでしょうか?

A 
骨髄採取に伴う合併症として一般的なものは、採取部位の痛み、のどの痛み(麻酔時の気管内挿管チューブがあたるため)、軽度な発熱、排尿痛(膀胱内導尿チューブを入れるため注)、気分不快がありますが、いずれも軽度であり数日以内に消失します。骨髄バンクでドナーの骨髄採取に伴う合併症集計(2003年3月現在)としては、採取中の一時的な血圧低下、不整脈、軽度の血尿(導尿カテーテル挿入の刺激によるもの)、義歯の損傷・ぐらつき、採取針の破損が主なものです。後遺障害と認定されたものは、左手尺骨神経障害、一過性の片麻痺と一部軽度の知覚低下の残存、外側大腿皮神経単発性神経炎などがあり、合計6例(2003年8月現在)で後遺障害保険が適用されました。その他の合併症として、急性C型肝炎を発症した事例、骨髄採取後に後腹膜血腫ができた事例、採取後に長期に渡って腰痛が持続している事例、採取後に肺脂肪塞栓症が疑われた事例、採取後に左腸腰部位に血腫を認めた事例があります。
骨髄移植推進財団ではすべての情報を公開し(http://www.jmdp.or.jp/donation/question.html)、起こった事例の原因究明と予防対策をすすめています。
注 導尿用のチューブをいれない病院もあります。(三重大学病院など)

Q15 検査や入院の費用負担はありますか?

A
ドナーに関わる検査費用、医療費のドナー負担はありません。最終同意まで至るまでのコーディネート費、血液検査の費用は患者さんの全額自己負担となります。最終同意後の採取前健康診断、入院費などは患者さんの健康保険が適応されます。


Q16 骨髄提供以外で血液の病気の患者さんに協力できることは何がありますか?

A
年令制限などでドナー登録ができない方にも協力していただけることはいろいろあります。
患者さんは移植前後には、輸血とりわけ血小板輸血が頻回に必要になりますので、献血に協力していただくことも大事なサポートになります。また、骨髄バンクの運営は、患者さんの負担金が基本となってはいます。バンクも患者さんも経済に大変苦しい状況に陥っていますので、資金的な協力方法もあります。
さらには、骨髄バンクを推進させるためのボランティア活動も各地で実践されていますので、参加されるのも一つです。三重県では勇気の会(三重県骨髄バンク推進連絡会議TEL059-226-8406)が活動をしています。 


Q17 最近臍帯(さいたい)血バンクを介した移植もあると聞きますが、骨髄バンクとはどう違うのですか?

A 
赤ちゃん出産時の"へその緒"のついた胎盤に含まれる血液には、たくさんの造血幹細胞(血液のもとになる細胞)があります。この血液を一旦冷凍保存して、骨髄移植と同じように患者さんに戻して、白血病など血液の病気の治療に役立てるのが臍帯血移植です。
ドナーの負担がなく、コーディネートに要する時間が短いため、骨髄バンクでドナーが見つからず、移植を急ぐ患者さんにに対して、最近、移植例が増えています。しかし、長期的な移植成績に関して、まだ不明な点があります。また、さい帯血バンクは公的なバンクではなく、日本さい帯血バンクネットワークとして、全国11のさい帯血バンクをつないで移植可能なさい帯血の検索を可能としています。現時点でのさい帯血バンクの位置づけは、骨髄バンクでドナーがみつけられない患者さんが、第3の移植ドナーを検索するものということになっています。